「頭が痛い」という症状を出す原因はたくさんあります。 中でも一番多いのは筋緊張性 頭痛や偏頭痛です。 これらは鍼治療が奏功します。
〈筋緊張性頭痛〉
頭痛の多くは筋緊張型のもので、これは文字通り筋肉の過緊張のよって誘発されるものです。筋緊張性頭痛と言っても症状の出る場所は こめかみ、後頭部、頭頂部、眉間、目の奥、頭全体と多種多様です。治療は緊張している筋肉を確認し、その中から痛みを生み出している悪い場所 (トリガーポイント) を探します。そこを鍼で処理する事で頭痛は治まります。 また、その周辺の筋肉の緊張も放置するとすぐに痛みを発するトリガーポイントを形成、活性化してしまうので一緒に治療していきます。さらに慢性的に頭痛のある方はなぜ肩首の筋緊張が強くなってしまうのかも考えなくてはいけません。それは日常生活の中や姿勢などにあるかもしれません 。一緒に考えていきましょう。
〈偏頭痛(片頭痛)〉
偏頭痛は血管の過拡張により生じる頭痛です。このタイプの頭痛も鍼灸が効果的な場合が少なくありません。 というのも拡張した血管の痛み以外に周辺の筋肉由来の痛みとの混合が多く、それを処理するだけでも痛みの頻度と程度が大幅に軽減し、治る人もいます。 また、筋緊張性頭痛を偏頭痛と診断されてしまってる例も少なくありません。
質の低下した筋肉は押さえると痛みます。治療中に触られて痛む筋肉は悪い筋肉なのです。また、ひどい場合は何にもしないでも痛みやだるさ(安静時痛といいます)をだしたりします。その筋肉を使う運動(短縮時痛といいます)をしたときも痛みます。歩いたとき、足が痛むのは歩くときに使用する筋肉が悪くなっているためなのです。
〈その他の頭痛〉
あまりに頭痛が続くとやはり痛い場所が頭だけに「脳の病気か?」とか不安になることが多いですよね。 そんな中にはやはり注意を要するものがありますのでまとめてみました。
1は脳出血の可能性があります。クモ膜下出血を経験された方に聞くと「突然バットで殴られたような痛み」と表現されていました。
2は頭の中の圧力(頭蓋内圧)がなんらかの原因で上がってる可能性があります。
3は頭をぶつけた後も少しづつ頭の中で出血がおこり2、3ヶ月で脳を圧迫するほどに大きさになり頭痛になっている可能性があります(慢性硬下血腫)
4は平衡感覚を司る脳の一部になんらかの病変が存在する可能性があります また、メニエール病の場合もあります。(メニエール病は鍼治療も効果的です)
5は髄膜炎などの可能性もありますが、高熱にともなって頭痛になっている場合が多いです。どちらにしても頭痛あるいは高熱の原因がなんであるかをはっきりさせておきましょう。
6は脳内になんらかの病変を含むことがありますが、一過性脳虚血といって一時的に脳の一部分の血流が低下してその部分の機能が落ちて視野や手足の感覚に異常を来すものも多いです。その場合、心配のないものがほとんどですが他の脳のトラブルのリスクが高まったりすることがあります。
上記のような症状があれば一度医師の診断を受けた方がいいですね その時に異常が見つからなかったり、筋緊張性頭痛と診断されたり、痛み止めをもらうだけであった場合は私 たちの出番です。一緒に治していきましょう。
肩こり
肩コリでお悩みの方は多いと思います コリと言っても立派な「痛み」です。また、放置していると様々な症状に発展しかねません。めまいや気分の悪さ、頭痛等も肩こり由来のものが少なくないのです。それだけにたとえ症状の軽い肩こりでも侮ってはいけません。痛みの発信源を 突き止めて確実に治療していかなくてはいけません。 多いのは僧帽筋、肩甲挙筋など (図1) ですが、コリを感じてる場所とは離れた場所にその発信源が隠れている事も少なくありません。(図2)
ケアークルーではこの隠れた発信源も探し出して治療していきます。そのためには皆さんの協力も必要です。どこが痛いか(コルのか) に加えて「何をしている時に痛いか(コルのか)」「どんな動作でそれが強くなるのか」をご自身で観察して教えて欲しいのです。軽度のものであればすぐに治りますが、楽になってもすぐに症状が出る人は次 にあげるようなことがあてはまらないかも考えます。
こんな時はこれらの解決策や緩和策を考えて実施していくということも大事です。また、治りにくい肩コリは極まれに内臓疾患が隠れている場合があります。 強い疼きが持続する場合などは一度医師に診てもらったほうが いいでしょう
寝違え
・肩と首をつなぐ筋群
・背中と首をつなぐ筋群
・頚椎同士をつなぐ短い筋群
等たくさんあります。ひどい方はそのいくつかが複合した人もいます。それらを一つ一つゆるめていくと痛みは消えていきます。ここでもどの筋肉由来の痛みかを診断するためにはどこが痛いかという情報だけでなくどうしたら痛いかが重要な情報になってきます。来院の際には是非そのあたりを観察して教えて下さい。
むち打ち
交通事故のような強い外力が頸椎とその周辺に加わり傷害を起こす頚椎捻挫です。ですが寝違えとは違い、症状が重くなることが多く、その症状が首の痛みだけでなく頭重、頭痛、また自律神経症状 (ここでは 自律神経の担当組織の不調をいいます。例えば食欲不振や動悸などです)にまで発展するものも多いのです。むち打ちは首周囲の筋肉の損傷であることに加え、広範囲な筋肉群の過緊張を引き起こし、それが損傷組織の治癒を妨げたり、自覚しなかった筋の悪さが誘発されたりして発痛組織が広範囲化、複雑化することも多いです。特に頭蓋骨の直下に存在する筋は頭痛、頭重、自律神経症状との関連も深く、見逃すといつまでも治らない頑固なむち 打ちになってしまうので注意が必要です。 さらにやっかいなのはこれだけ強い症状が出ているにもかかわらず、こういった筋肉の悪さはレントゲンやMRIではわからないのです。
もし、あなたがむち打ちで苦しんで いてどこに行っても「異常なし」や痛み止めの処方だけで我慢せざるを得ないのでしたら、是非、ご相談ください。あなたの見逃された悪さを一緒に探して治療していきましょう。
胸郭出口症候群―首から肩、腕の痛みやしびれ―
首から肩が痛い、腕まで痛い、しびれまであるひどい人は握力の低下などもおこることがある胸郭出口症候群の可能性があります。これは胸郭から神経や血管が手の方へ出ていくルート上になんらかの問題があり圧迫を受け痛みやしびれなどをその場所や他の場所にまで飛ばしてしまうものです(右図) 体の構造上、その神経や血管を締 め付けやすくなっている場所 がいくつあって、その場所によってそれぞれ病名がついています
多いのは斜角筋症候群 これは首の横にある斜角筋(前、中、後の三本が並んでいます)にはすき間があり、そのすき間より腕方面に伸びる神経、血管が出てきます。この斜角筋がコリきって固くなるとすき間のゆとりや柔軟性が少なくなり神経、血管への圧が高くなり痛みやしびれを起こすのです。また、斜角筋が実際に神経血管を圧迫しなくとも斜角筋が単独でその痛みを腕や背中、胸の奥に起こすことがあります。どちらにしても斜角筋を治療して柔らかさを取り戻せば症状は消えます。 その他に神経、血管を圧迫しやすい場所は鎖骨と肋骨のすき間、胸の奥の筋肉(小胸筋)と 肋骨のすき間です。
頚椎症、頚椎椎間板ヘルニア―頑固な首、肩の痛み―
この病気は頚椎やその周辺の病変が原因で首、肩の痛みを引き起こします。 時にしびれを伴うこともあります。その症状は痛みに、だるさ、しびれ等多彩で、じっとしていても重苦しい痛み、だるさが 持続するというもの、手のしびれや手指の細かな運動がしにくくなったりするものもあります。代表的なものに頚椎椎間板ヘルニアがあります。
上の図は椎間板ヘルニアの模式図でブルーで示した椎間板がつぶれて矢印の方向に飛び出し、飛び出した部分が脊髄を圧迫したり脊髄から出る神経を圧迫しています(赤丸の部分)病院ではCTやMRIの撮影によりはっきりとヘルニアの病変が写ります。こうなると整骨院や鍼灸院に行っても治らないんではないか? 手術しかないのか? と思ってしまう方がおられますが それは違います。
まず、あなたの痛みはヘルニアがあるからといって100%ヘルニアからの痛みとは限らないのです。あなたの首肩の痛みが全てヘルニアから来てる。と決めてしまうのは少々早すぎです。椎間板ヘルニアがレントゲンで見つかっても全く症状のない人も多数見つかっていています。つまり痛みが椎間板ヘルニア由来とは限らないということなのです。(下図)
当院ではヘルニアと診断されても治療で症状が消えた人がいます。私たちの治療で飛び出した椎間板が見事に元どおりになったとは考え難いので。おそらくそういう方たちの痛みはヘルニアとは無関係であったのではないかと考えています(実際、治ったあとに再度レントゲンを撮ってもらうことはないので未確認事項なのです) そしてもう一つヘルニアと診断された人たちの首の筋肉はとても硬いです。首の筋肉はほとんどが縦に走っています(収縮すると頚椎を上下から圧迫する方向)これらの筋緊張が極度に高まればヘルニアを悪化させる方に働く可能性もあります。 上の図(首の痛みの由 来モデル)の椎間板ヘルニアによる首の痛みでもそういう方たちの首の筋肉を治療することによって筋肉が柔らかくなり、症状が緩和することもあります。(下図)
もちろん本物のヘルニア由来の痛み比率が大きいものを存在しますので注意深く経過を見 なければいけません。また、頚椎椎間板ヘルニアを起こしていなくてもヘルニアのような症状が出る場合があります。 そもそも椎間板は頚椎同士の関節間にあるクッションの役割をしています。その椎間板が過負荷や加齢変化で厚みが減少すると頚椎同士が接近し頚椎の隙間から出て来る神経を圧迫し、痛みやしびれを出します。(下図)これも頚椎症です。
この場合もヘルニアの時と同様で椎間孔の狭窄とあなたの痛みがどこまで関係しているか、また、硬くなった筋肉を柔らかくすることで症状がどう変化するのかを注意深く観察しなければいけません。湿布、痛み止めで治らなければ手術? そんな極端な選択肢はあまりに辛いです。私たちと一緒に痛みをとる道を考えませんか?